今から20年以上前、個人サロンを開店してまもなくのことでした。
ホームページから「妻をキレイにしてもらえませんか?」というお問い合わせをいただき、お話を聞くと 「実は妻は半身不随で障害を持っています。そんな妻ですが、女性ですからキレイになってゆったりする時間作ってあげたいからエステをプレゼントしたいんです」との事でした。
驚きましたが、ご主人の気持ちが温かくて、「大丈夫です!お受けします」と即答しました。 ご予約当日、ご主人に付き添われた奥様はちょっと不安そうでしたが、施術中に体調が悪化した場合のお薬をお預かりしたりお話をするうち「楽しみにしています」と笑顔を見せてくれました。
施術は何事もなく無事に終わり、予定の90分が過ぎた頃ご主人が迎えに来ました。お部屋に入って一番に、リラックスしている奥様のツルツルになった頬を優しく撫でながら 「良かったね」「キレイになったね」「ほんとに良かったね」と繰り返し笑顔で語りかけ…
奥様も嬉しそうに「ありがとう、嬉しい」と何度も言いながら応えていました。 午後の陽射しが差し込むサロンの一室、まるで映画のような光景に 涙が溢れそうになるのを必死にこらえて、にっこり笑いながら「今日はありがとう御座いました」と、伝えるのが精一杯でした。
ご主人から「妻にエステをプレゼントしたいと思っていたけど、なかなか受け入れてくれるところが無かったんです。今日妻をキレイにして頂いて本当にありがとうございました」と言葉を頂いた、あの時間を今でも鮮明に覚えています。お二人が帰った後、大泣きした私。
そして、なんて良い仕事をさせてもらえたんだ!と思いました。 エステってお悩み解決もありだけど、自分だけの特別な時間を過ごして心も元気になってもらえる仕事なんだ!って思ったんです。
女性なら誰だってキレイでいたい! その気持ちをご主人がくみ取り、キレイになって、ゆったり出来る時間を過ごして欲しいという奥様への気持ちが本当に素敵だなあと思ったと同時に「エステってキレイになって元気になってお客様に喜んでもらうことが原点なんだ」って感じた出来事でした。これが私にとってエステの原点になりました
売上を追うことも必要だけど、それよりも目の前のお客様がキレイに元気になって帰られる、喜んでもらうことこそが、大切なことなんだよな、と。
お客様と向き合う時、いつも心の中にこの日の光景があります。 サロン開店して21年間、私のセラピストとしての原点であり、いつまでも目標です。
Categories